そんな、知りたいことを何でも教えてくれる Google 先生ですが、わからないことは逆に人類に聞いてみよう、という実に謙虚な姿勢の持ち主のようで、実にひっそりと、人類の叡智を収集するためにあるアプリをリリースしていた模様です。偶然見つけて試してみたところ、実は地味に楽しかったので、メモしておきます。
Google がついに人類に助けを求めるためのアプリ「クラウドソース」をリリース
先日、ある日突然、スマートフォンがエラーを起こしまくって、泣く泣くandroidを初期出荷状態に戻したのですが、その再セットアップ中に見つけてしまったアプリがこちら。その名もずばり、クラウドソースです。
今のところ、android版のみリリースされている模様です。起動するとホーム画面が立ち上がります。
「感情の評価」「手書き入力認識」「翻訳」「翻訳の検証」「マップ翻訳の検証」「Landmarks」「画像の文字変換」の7つの項目があるので、それぞれ、どんな項目なのか見ていきましょう。
「感情の評価」で、文章に込められた想いを理解しようとするGoogle先生
「感情の評価」では、文章を読んで「ポジティブ」な文章なのか「ネガティブ」な文章なのかを評価します。例題はこんな感じです。
Google先生は、グルメな表現にも興味があるようです。
まるで思春期の青年のような漠然とした不安にも、興味があるようです。
結構シュールな一言。この文章の前にあるはずの文章が気になって仕方ないです。
絵文字に込められた感情をも、正確に把握しようとしています。小堀さんがどのように怖かったのかも、興味がつきませんね。
サラリーマンの魂を言葉にしたような一言。Google先生のことは、とても評価してますよ。
質問の傾向からするに、なかなかに人生の機微に触れるような複雑な感情に興味があるようです。
「手書き入力認識」で、汚くて読めない文字でも理解しようとする涙ぐましい努力を怠らないGoogle先生
「手書き入力認識」では、OCRによる文字認識ではなかなか読み取れないような汚い文字や崩れた文字を、実際にその言葉を記入してもらう形で質問されます。
こういうストレートな質問、嫌いじゃないです。やはりGoogle先生は、思春期のまっただ中なのだろうか…?
なかなか渋い単語をチョイスしてくるGoogle先生。ちなみに、ヨタ話のヨタは、落語でよく題材とされる愚か者だけど親孝行な「与太郎」が語源らしいです。勉強になります。
に。ひらがなの探求にも余念がありません。
どのようにして単語をチョイスしているか興味のあるところですね。
「翻訳」で、なんとも訳し難い日本語にも果敢にチャレンジするGoogle先生
「翻訳」では、出てくる日本語を直接、英語で表現するとどうなるかを聞いてきます。
Google先生は、結婚にも興味があるようです。
今話題の社会問題にも、ぐいぐい突っ込んで主張してきます。食の安全性にも興味があるようですね。
ラノベのタイトルでしょうか…?と思ったら、実際にあるラジオドラマのタイトルでした。Google先生は、日本のサブカルチャーにも興味があるようです。
なんとも哲学的な一言。Google先生は、人生というものにも含蓄を蓄えようとしているのか…?
個人的に一番ヒットした質問がこちら。「まぼべそん。」ってそもそも何…?元の単語の意味が分からないので、翻訳も厳しいですね…。ちなみに、調べたら、誰かのハンドルネームの模様です。
なかなか英語にしづらい、微妙なラインを指定してくるあたり、Google先生さすがです。
「翻訳の検証」で、微妙なニュアンスや翻訳しづらい文章に意見を求めてくるGoogle先生
「翻訳の検証」では、○×で翻訳が正しいかを聞いてきます。
Google先生は、どうやら猫派の模様です。最初に認識した画像も猫だったというし、相当の猫派ですね、これは。
日本の食文化にも興味がある模様。"Weight gaining stew for sumo"と、辞書的な翻訳をサジェストしてくるあたり、なかなかの学者肌です。
とまどい。まさか、まさか、Google先生はGrayのファンなんでしょうか?
これまた、英語にしずらい単語をチョイスしてくる…。"eat a potato"がどこから出てきたのかが気になります。
なんとも微妙な表現にまで切り込んでくるGoogle先生。どっちも正しいと思います。
これからも、どんどん翻訳するには微妙な単語を見つけては、人類に挑戦状を叩きつけてくるんでしょうね。
「マップ翻訳の検証」で、日本のお店やスポットを正確に翻訳しようとするGoogle先生
「マップ翻訳の検証」では、日本のお店やスポットの英語名を、「はい」か「いいえ」で、聞いてきます。気になって調べてみたら、当然のごとく、全て実在のスポットのようです。
ポテトかいつかを"potato or sometime"と訳してくるセンスは嫌いではありません。中学校の先生だったら、○をつけてあげたいところ。「かいつか」は固有名詞なので、"potato kaitsuka"で良いですね。惜しい。
人に聞くよりは直接、病院に問い合わせて確認したいところですが、そこをソーシャルの力で解決しようとする姿勢は、いかにもGoogle先生っぽいです。
固有名詞もとにかく正確に翻訳したい性格の模様です。"Hiroshi lights sha"も個人的には好きな翻訳です。
日本の温泉文化にも興味がある模様。こちらは見事に翻訳してくれてますね。
Google先生のやる気を感じさせる翻訳。日本語のユニークな店名にも対応してきますが、魚のあとの「っ」の強意表現は、"fish! fish!! Itchorai"くらいが適切ですね。惜しい。
2020年に向けて、より多くの外国の方をお迎えするためにも、できるだけ正確な翻訳を増やしておきたいですね。
「Landmarks」で、景色さえもラベル付けしようとするGoogle先生
ですが、残念ながらこの「Landmarks」は、日本語対応してない模様です。
英語をチョイスすると出題されますが、流石にこれは、近くに住んでる人ではないと回答が難しい…。
日本語でもこんな感じの出題だと、結構しんどいですね。
日本語対応が待ち遠しいですね。
「画像の文字変換」で、画像に写り込んだ文字の認識精度を高めるGoogle先生
「画像の文字変換」では、画像に写り込んだ文字を入力方式で回答します。実はこれ、ログインの時などに使われているreCAPTCHAで使われているあれですね。
どこまでの叡智が集められるかは、協力して得られるリターン次第ですよ、Google先生
ちなみにこの「クラウドソース」、今のところは、協力したことで得られるリターンは、ただただ栄誉のみです。問題を進めていくと、こんな感じでレベルが上がっていきます。
どのカテゴリでどれくらい協力したかは、一覧で確認できます。
で、協力したタスクに応じて、バッジがもらえる寸法です。コレクター魂に火がつきますね。
で、協力したタスクを少しずつ増やしていくと、段々とレベルが上がっていきます。
レベルによって、得られる特典が上がってきます。この辺、Google Map のローカルガイドと同じ仕組みですね。
協力したタスクが増えるほど、コミュニティと密接に繋がれるという特典です。レベル5で得られるリターンに、Facebookグループへの招待という特典がありますが、こそはHangoutグループだろ、とかツッコミたくて仕方がないです。そして、しかしながら、私が欲しいのは栄誉だけじゃなく、実利も欲しいのです。せめて、アンケートのアプリのように、Google Play のクレジットなどの形で還元してもらえると、Google先生の貢献度が飛躍的にあがるはずだと思うのは、私だけでしょうか?
クラウドソースで集められた人類の叡智は、Googleのサービスとして人類に還元される模様です
ちなみに、Google がクラウドソースを使って集めた人類の叡智をどのように活用するのか、気になるところですよね。
翻訳なんかは、Google 翻訳やGoogle Mapの多言語対応に大いに役に立ちそうですよね。
手書き入力認識やLandmarkの機能は、おそらくですが、Google Cloud Platform で提供されている Cloud Vision API の手書き文字認識機能や、ランドマーク検出機能の精度向上に使われるはずです。
感情の評価は、これまた Google Cloud Platform で提供されている Cloud Natural Language API の感情分析機能に利用されるのではないでしょうか?この感情分析機能、日本語には現在のところ未対応なので、早く Google 先生に賢くなってもらって、機能として使えるようになってもらいたいですね。
こうした毎日のちょっとした協力が、Google先生の機能向上に繋がって、ひいては利用する側にメリットがあるのであれば、どんどんいろんなことに協力して、Google先生の先生になりたいですね。
まとめ
クラウドソースを使って、毎日3分間だけおのおの自分のわかる範囲でGoogle翻訳の精度向上に貢献することで、結果として外国語の習得しなくてもよくなるなんて、これぞまさしく、情けは人の為ならず。今日もこつこつ、満員電車に揺られる通勤時間に、Google先生の先生になるべく、今日もクラウドソースを起動するのです。しかしこれ、今のところは得られるリターンは名誉のみ、というストイックなアプリなので、アンケートアプリのように、Google Play のクレジットなどで報酬が貰えると嬉しいですね。