2017年1月7日土曜日

閉館間近の石原裕次郎記念館に行って、閉館しないための5つの改善点を勝手に考えてみた

 昭和生まれの人間ならば誰でもが知っている昭和の大スター、石原裕次郎。大学生時代に、朝の10時半から西部警察の再放送をやっていたのをきっかけに見るようになり、20万人が参列したという総持寺で行われた13回忌には、おそらく人生最長の10時間くらいの待ち行列に並ぶほど、はまってました。こうして改めて見ても、かっこいいですね。



 そんな石原裕次郎ゆかりの品が集められた石原裕次郎記念館が、2017年8月31日を以って閉館するというので、これは閉館前に行ってみねばということで、年末年始休暇を使って雪遊ぶ真冬の小樽まで行ってきました。



 しかし、実際行ってみたところ、内容が微妙でこれは確かに閉館するな…、という残念な印象を持ってしまいました。年始の期間中で団体客が居ないとはいえ、他に来館者はいなくて貸し切り状態。入館料の1500円が高いか安いかという議論は別にして、石原裕次郎にゆかりのものを展示する記念館として、もう少しいろいろとやり方があったはずなので、感想などをメモしておきます。


石原裕次郎記念館閉館の本当の理由


 石原裕次郎記念館閉館の理由については、施設の老朽化をメインに、来館者数の減少や石原プロ危機説とか、様々なメディアで言いたい放題言われてます。個人的には 小樽の「石原裕次郎記念館」が見納め―今年閉館する3つの理由とは | 北海道ファンマガジン がよくまとまってて館内の写真も豊富でわかりやすかったです。

 が、いろいろと理由が挙げられてはいますが、とどのつまり本当の理由は、老朽化した施設をメンテンナスすることもできないほどに、石原裕次郎記念館が単独で儲かっていないからなのは間違いないのです。

 Twitterを見ても、数多くの閉館を惜しむ声が上がっているというのに、そこを収益に変えられてないのは手痛いですね。






 そこで、裕次郎ファンとして幾つか思うところもあったので、直ぐにあんまりお金をかけずにできそうな収支改善案を勝手に考えてみたいと思います。


石原裕次郎記念館を存続するために今すぐできる5つの改善案


まず、ホームページを今風にリニューアルしてみては?


 今回、石原裕次郎記念館に行くにあたって、一番びっくりかつ残念だったのが、ホームページの作りが古すぎること。

小樽 石原裕次郎記念館[yujiro-kinenkan.com]

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 なんともインターネット黎明期を彷彿とさせるような、ノスタルジックでレトロなデザインのホームページです。石原裕次郎が昭和の大スターだからと言って、ホームページはもっとモダンなテイストで良かったんじゃないかと思います。

 札幌から電車で石原裕次郎記念館に行く際のアクセスを知りたかったんですが、情報にたどり着くにはまずトップページにアクセスして、やたら長いページをひたすらスクロースして下まで表示して…、



一番下にやっと表示される「クリックして中をご覧ください」というリンクをクリックして2ページ目に飛び、これまたやたらと長い2ページ目をスクロールして下まで表示して…、



一番下にやっと表示される「次のページはここをクリック」というリンクをクリックして3ページ目に飛び、ここでも一番下までスクロールすると、



やっと、
●当館までの交通機関
・JR小樽駅より中央バス・ぱるて築港線で約20分
・JR小樽築港駅より徒歩約10分
という欲しい情報にアクセスできるという…。もう少し、トップページに「開館日」「館内案内」「新着情報」「アクセス」「グッズ情報」「スタッフブログ」などのメニューの形でどこにどの様な情報があるかを示して欲しいところです。ページ自体も、画像埋め込みがメインで作られてしまっているので、これではSEO効果がほぼ見込めないですね。今風にするならfacebookやtwitterへのシェアボタンも欲しいところです。石原プロモーションのホームページはこの辺、ある程度考えられているだけに、非常に残念。もったいないです。石原裕次郎記念館も株式会社として独立しているとは言え、もう少しなんとかしてあげられたんじゃないかと思うともったいないですね。ついでに言うと、周辺の観光案内なんかもあると、遠方から来られる方には嬉しいかと思います。


小樽築港駅からのアクセスをもっとわかりやすくしてみては?


 やっとホームページで最寄り駅の情報を手に入れたので、喜び勇んで小樽築港駅に辿り着きましたが、ここから石原裕次郎記念館へのアクセス方法が良く分からない…。そもそも、ホームページのアクセス情報に簡単な地図くらい載せておいて欲しいところですが、リアルに駅についても、「石原裕次郎記念館こちら。徒歩10分」的な案内が一切ないので辛いです。

 実際のところは、小樽築港駅から歩道橋で繋がるウィングベイ小樽の中を延々と端から端まで歩き、駅から一番遠い側にあるAEONの1階出口を出てすぐ目の前にある信号の横断歩道をわたって、道路の向かいに目指す石原裕次郎記念館があります。最後の道路を渡るところだけ屋外ですが、あとはほぼ屋根があるところを移動できるので、濡れることはほぼないかと思います。



 石原裕次郎記念館に来る人の殆どが車で移動する個人客かツアーバスで乗り付ける団体客ってのもあるんでしょうが、もう少し電車からのアクセスも考えたほうが親切だと思いました。石原裕次郎記念館側も、ウィングベイ小樽側からのアプローチは想定してないみたいで、AEONを出た側から見える面(上の写真の右側の面)には、一切、石原裕次郎記念館という表示が見えてませんし、ウィングベイ小樽の中にも、一切「石原裕次郎記念館はこちら」みたいな順路案内がなくて、歩いている時にかなり不安になります。案内所の人に聞いたら教えてはくれましたが、もう少し近隣施設同士、仲良くできないものかと思います。


物販重視の姿勢をもう少し見なおしてみては?


 ホームページを見てもお気付きかと思いますが、ページの大半がグッズの紹介に割かれています。そしてその割に、商品詳細のページには、「商品についてのお問い合わせは」と電話番号とメールアドレスが書いてあるだけで、なんとホームページからは直接、商品が買えないという、ユーザーの利便性を一切無視した作りがなんとも残念な感じです。

 下の写真は、撮影OKエリアに展示されている非売品のスーパーZの模型。作りは荒いけど、なかなかの迫力。



 そしてびっくりしたは、入館時に渡される紙の館内案内。両面5つ折のパンフレットになってるのですが、片面は丸々「裕次郎シニアファッション記念商品カタログ」として、グッズの紹介しか書いてありません。もう一面も2/5が西部警察のグッズ紹介、1/5がグッズ紹介とティーラウンジのメニュー紹介、1/5は表紙として使っていて、タイトルの「館内案内」に使われている紙面はわずか1/5。パンフレット全体で見ると、わずか1/10しか館内案内に使われてません。しかもそのわずか1/10ページの案内も2/3くらいの面積が石原まき子夫人の石原裕次郎記念館閉館にあたってのご挨拶で、肝心の館内情報は、「石原裕次郎記念館のご案内」と題して、「営業時間」と「入場料金」が書いてあるだけという…。入館案内というからには、せめて、展示物やトイレの位置がわかるフロアマップが欲しいところです。これでは、館内のご案内ではなく、石原裕次郎記念グッズのご案内です。記念グッズが欲しい人は、わざわざ石原裕次郎記念館に来て、パンフレットを見て商品を選ぶのではなく、ショップで実物を見て商品を選ぶと思うのです。


展示内容ももっと工夫できるのでは?


 石原裕次郎記念館に入ってすぐ、シアタールームで7分の資料映像を見るブースがあるのですが、これも映画の名シーンをつなぎあわせただけの、石原裕次郎に関する説明など一切なしの無限ループ映像です。これでは何を伝えたいのか一切分からない…。ここは、石原裕次郎を知らない人でも、石原裕次郎がどういう人で、この記念館でどんな展示がしてあるのか、何を伝えたいのかをコンパクトに紹介する映像にしたいところです。

 館内の撮影禁止もイマイチなところですね。映画「黒部の太陽」のセットや「栄光への5000キロ」で使用したブルーバード、裕次郎の着用したジャケットや愛車のベンツやコンテッサ号の室内のレプリカなど、迫力のある展示物が多いので、撮影OKにしてバンバンSNSで拡散してもらえば良いと思うのです。ガルウィングのベンツとか、座ってみたい人も多いと思うので、レプリカでも良いので、シートに座って記念撮影1回300円とかで、入場料以外にも収益源を作ることはできそうな気がするのになぜやらないのかと。

 かろうじて、記念館の入口に西部警察に使用された劇用車が、撮影自由になってますが、こういうところをもっと増やせばいいのにと思います。



 “映画はスクリーンで見るもの”が持論だった石原裕次郎がもし自身でこの記念館をプロデュースしてたら、もっと体験型の記念館にしてたと思うのです。

細かいところでは、どこかの展示物説明パネルで、西部警察の木暮課長の字を間違ってシールで直してるとか…。そこは間違っちゃだめなところなので、作り直しするところだろと。


カフェではなくて、バーにしたほうが、裕次郎っぽいのでは?


 石原裕次郎記念館の順路の最後は、裕次郎の愛艇コンテッサ号のラウンジを模したティーラウンジ「ハレ・コンテッサ」があるのですが、ここももう一工夫できそうな。裕次郎の好物だった裕次郎パンやソフトクリームなどがおいてあるのはわかるんですが、ドリンクがコーヒー・紅茶とソフトドリンクだけ。裕次郎と言えばやはりお酒!ここは一つ、カフェからバーにイメージチェンジして、ショップで売ってる裕ワインや裕次郎の松竹梅の清酒大吟醸、焼酎のJAPAN裕次郎なんかを一杯いくらでその場で飲めるようにすれば良いのです。バスツアーでくる団体客はお酒を飲んでOKだろうし、ドライバーの方はご遠慮ください、ってとこだけしっかり守れば、お一人様一杯ずつくらいはお酒を出しても問題ないはず。

 正月らしく、エントランスには宝酒造の松竹梅の酒樽が飾られてましたが、裕次郎といえばはやりお酒でしょう。



 個人的には、コンテッサ号で潮風に吹かれながら飲むお酒もさぞかしうまいだろうけど、事件解決後に課長室でブランデーを傾ける西部警察の木暮課長の気分を味わいたいのです。小樽築港駅のハーバーを見渡せる部屋にセットを作ってブランデー片手に記念撮影とか、絶対流行ると思うのです。


まとめ


 というわけで、好き放題妄想してしまいましたが、石原裕次郎記念館は、昭和の大スター石原裕次郎というピカイチのコンテンツを持ちながら、展示の仕方や魅せ方、商品の売り方がイマイチどこを向いているか分からず、勿体無い、という印象です。

 石原裕次郎ファンの高齢化なんかも、閉館の理由にあげられてましたが、言うほど石原裕次郎というコンテンツの価値は減ってないのではないかと思うのです。実際、気になってちょっと調べてみましたが、石原裕次郎という単語の検索回数はここ数年横ばいをキープしています。(青のラインが石原裕次郎、赤のラインが石原慎太郎)



 比較として東京都知事も務めた兄、石原慎太郎と名前の検索回数を比較してみると、片や存命の元小説家・政治家と比較して、2004年から2016年までのトータル検索回数だとやや負ける程度というのは、もうすぐ没後まる30年経とうかと言う人の検索ボリュームとしては、十分なものがあると思うのです。(ちなみに石原裕次郎没後30年のイベントがないのも残念ですね…)

 何事にも派手好みだった現代の傾奇者、石原裕次郎の歴史の一幕がこんな形で終わるのはもったいない…。大番頭のコマサさんこと小林正彦さんも亡くなられ、苦しいところではありますが、これからも石原プロモーションには頑張って欲しいと思うのです。

 1年前に閉館の告知を出したのが唯一のファインプレーだとは思いますが、石原裕次郎記念館が、単に石原裕次郎のグッズを買える場所ではなく、石原裕次郎の在りし日の息吹を肌で感じられる場所であってほしいと切に思いました。そして書いててふと思いましたが、小樽の石原裕次郎記念館閉館後は、西部警察のときの日本全国縦断ロケのように、石原裕次郎の生きた証を全国に出向いて届けるのもありじゃないかと思います。このエントリーを読んで少しでも、石原裕次郎記念館に訪れる人が増え、閉館の取りやめが実現すると嬉しいですね。


【2017年4月29日追記】嬉しいニュースを見つけました。



 なんと、2017年6月17日と21〜24日の計5日間、石原裕次郎の没後30年を記念し、NHK-BSプレミアムで放送時間が13時間に及ぶ大型特集を放送することになりました!これは楽しみですね。石原裕次郎ブームの復活に期待したいところです。


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